あなたの世界で息をさせて

UNISON SQUARE GARDENとナポリの男たちについての備忘録

戻ってこなくなった人をずっと待ってる

 わたしには戻ってこなくなってしまった人がいる。

戻ってこないというのは振られたとか、別れたとかじゃなくて、もう二度と生きてるうちは会えない人がいる。

でもわたしは、5年経ってもいまだにその人を街中で探してしまう。

頭ではもういないし、会えないっていうことはわかってはいても、ふとした瞬間に

ぱさぱさの金髪マッシュを探しちゃうんだ。

 

 

2年と少し一緒に過ごした。

いろんな所に行って、たくさんの思い出を作ってきた。ディズニーも、フェスも、たくさん一緒に行った。

ケンカもしたことはあるけど、トータルしてみたら2人でゲラゲラ笑ってる時間の方が圧倒的に多い。笑いのつぼが2人とも浅かったっていうのもあるんだろうけど、同じタイミングで笑い出せるのは幸せだった。

でも突然、わたしにも、家族にも、友だちにも、誰にもなにも言わずに人生に幕を下ろしてしまった。

あまりに突然の事過ぎて、当時は現実が受け止められなかったし、多分今でも受け止め切れてはいないんだと思う。

正直いまでも夢に見るし、思い出して泣くことももちろんある。

 

きっとこれから先、ずっと一緒に過ごしていくんだろうと思ってた矢先の出来事で

明日が来ることも怖くて、できるなら連れて行って欲しかったと今でも思うし、隙あらばわたしは同じ場所へ行きたいと願っている。

でもわたしは彼のように自分の人生の最期を自分で決めるだけの勇気はない。

 

幸いな事にわたしの周りには、立ち止まったら手を引っ張ってくれるひと、背中を押してくれる人が多くてなかなか最近はそんな事思う暇なく生きている。

みんな楽しい事やら幸せな事を惜しみなく提供してくれるし、とてつもなく優しい。

 

あなたのように人生に自分で幕を下ろす勇気もないから、きっと寿命がくるまで人生をゆるゆる過ごしてゆくんだろう。

ただわたしは今でも右側にペンだことはさみだこの目立つ、あたたかくて大きな左手を探してしまうなあ。

楽しかった事があったらすぐに伝えたいと思うのはあなただし、おいしいものを食べたら一緒に食べれたらなあって思う。

きっとこの先もこうやって生きていくんだろう。

 

あなたのもとに行くのは何十年後になるかな、きっとおばあちゃんになってるけど気付いてくれるかな。

そしたら何十年分、ものすごい話したいことがたまってるだろうから、わたしが大好きだったあの笑顔で笑って話を聞いてほしいなあ

 

前に進むことって、あなたのことを忘れて、置いてけぼりにして進んでいくことだって思い込んで、あの頃と同じ場所で立ち止まっていたけど、

あなたとの思い出も、想いも、なにもかも自分で抱えて、離さないように落とさないようにして進んで行こうって思えたんだ。泣きたくなるくらいに優しくて、溢れそうなくらいの愛情を注いで、いつもわたしの少し前に立って手を差し伸べてくれる温かい人に出会えたから。

あなたのことを思い出して、切なくて泣くことはもうしないから、たまには懐かしいなあって思い出してもいいかな。

 

いろんな人の中からわたしを見つけて、一緒にいてくれてありがとうね。

生まれてきてよかったって思わせてくれてありがとう、またゆっくり話そうね。

ゆっくりになると思うけど、そこで、わたしの大好きなあの笑顔で笑って待っててね。

何十年か分の話、長くなっちゃうと思うけど聞いてほしいな。